第九十一回
初出公開:2010/11/23 最終更新日:2012/3/11
「宇宙戦艦ヤマト」がキムタクの主演で実写化されている。 まだやってるのかと驚いたわけだけど、最初の放映は1974年で2010年の今とは36年!も時間的な距離がある。 ヤマトの舞台は西暦2199年の未来であって、 SF設定(未来予測)というやつは、その設定が考えられた時代時代の科学技術によって想像が制約されるものだが、 最初の放送から36年も経ったにも関わらず、SF設定が科学技術の進歩にあわせて更新されているように見えないのは、 SFファンとして残念な気がする。
1974年に想像された未来と比べて、大きな技術的な進歩を遂げたジャンルには様々あるが、 特に変化したのは電子工学の進歩によるコンピュータデバイスの低コスト化や、 コンピュータを活用したことによる通信ネットワーク技術の進歩だと思う。 SF作家の小松左京もSFがパソコンの登場のようなコンピュータの低価格化・パーソナル化をSF作家が予測できなかったのは大きな失態と言ったが、 当時、コンピュータ応用技術のここまでの進歩は想像されていなかった。 当然ながら、ヤマトにおけるコンピュータ応用技術の描写も貧弱だ。
特に情報共有の仕組みがダメで、 例えば敵の接近を知らせるのに「敵接近。距離ほにゃらら宇宙キロ」という口頭で通知するシーンがある。 本来あるべき姿として、敵が接近したとき、 敵の座標、数、艦のサイズ、戦力予想、自艦の進行速度を考慮した相対的な距離と接近予測などを伝えるべきだと思うが、 そもそも口頭で説明しきれるものではないし、 宇宙という前後上下左右と3次元で事態が進行するなかで、 直観的に状況を伝えるのは相当困難だ。 現状で想像できるこの課題を解決するための未来技術としては、3Dで状況を表示するディスプレイや、 直接脳内にすべての状況を一瞬で送り込むような技術がある。 3Dディスプレイについては、ホログラフや3Dテレビといった商品がすでに存在している。
さらにコンピュータを中心とした光学観測機器(カメラ)、センサーを含むネットワーク技術を考えれば、ヤマトの幹部が危険な 艦橋に集合する必要すらなく、特別に装甲を施した安全な区画に幹部を分散配置し、 作戦立案や作戦指揮はネットワークを通じて行うことができる。 これは既にある技術でさえも不完全ながら実現可能な対応だ。
ワープとか亜光速航行などはいまだ人類にとってファンタジーでしかないが、 そのほかの進歩が予測可能な部分については作品をリメイクするならアップデートしてほしいものだ。 新しい設定に積極的に飛びつかないという部分で、 日本人が未来への希望を忘れて保守的になっているのかなぁと思ったりもする。
第九十二回
初出公開:2012/7/28 最終更新日:2012/8/7
原発反対→「反対するなら電気使うな・ネット使うなコラァ」という議論を見てて思ったこと。
上の主張の通り、ネットを止め、その機能を新聞・雑誌のような紙媒体が代替するとして、 紙とネットを比較すると、実際の所、紙のほうがエネルギーのロスが大きい気がするんだよね。
雑誌的なモノを介した情報流通を例に検討してみようか。
第一に、紙を作るには、かなりのエネルギーが必要。CO2を大量に放出する産業として、鉄鋼業界の次に製紙業界の話が出てくるほど。 というのは、パルプを作る際の乾燥工程で熱を大量に使うから。最近はバイオマスを燃料に使ったりと努力しているみたいだけど、基本的に重油を使っているみたい。
さらにいえば、紙を使う前工程で、紙パルプの原料である木材を海外から輸入しているわけだけど、 材木を切って自然破壊しているのはもちろん、流通自体かなりのエネルギーが必要になる。木は重いからね。
紙ができました。次は印刷工程に進むが、印刷にはインクが必要で、インクは基本石油化学製品であり、石油が消費される。 燃料としての石油とどれくらい競合するのかは不勉強で未知だけど。
で、雑誌ができましたと。書店やコンビニへの配本には、再度、流通のお世話にならないといけない。書店などに配本がされてもまだ終らない。売れ残りが発生した場合、再々度、流通に戻る。それで、倉庫に戻って一時保管され、その後、裁断されるにしろ、リサイクルされるにしろ、また、流通に・・・ってほとんど冗談みたいにすら思えるね、文章にすると。
一方のネット。デバイスそのもの(PCやスマホ)の製造・流通や、電気にはエネルギーが必要になるが、情報そのものの頒布には、エネルギーはあまり使われない・・・気がする。
よって、電気だけに拘らず、省エネルギーのためなら、紙を捨てて、ネットを使ったほうが、効率がいいという結論に達したのだけど、実際はどうなんかね。
第九十三回
初出公開:201// 最終更新日:201//
第九十四回
初出公開:201// 最終更新日:201//
第九十五回
初出公開:201// 最終更新日:201//